父を失ったあの日から、とにかく「いま」の写真を残さなければ、
父を失ったあの日の記憶までもなくなってしまうような気がして恐ろしくてたまらなかった。
あの日の傷がうずくたびにシャッターを切っていた。
時間とともに、新しい記憶に押し流されるようにいろいろなことが少しずつ思い出せなくなっていった。
傷が癒えていくことに罪の意識さえ感じていた。
撮らなければ忘れてしまう薄情な娘だと思った。
撮っていたからこそ、あの日からこれまでのことを忘れずに胸に留め置いてこれたのだと思い直せたとき、
やっと自分のことを少しだけ愛せそうな気がした。










